67万店存在するともいわれる
日本の飲食店。
斬新なアイデアだけで
繁盛店✨となるのは
そう容易いことではありません。
仮にその奇抜な発想力で
人気を勝ち獲ったとしても
それを長く継続することは
容易ではないのです。
人気店とは一過性のものであり
繁盛店とは
永続的!でなければなりません。
繁盛店に必要なものは
奇抜で斬新な商品ではないのです。
- 責任者がやるべき3つの業務
- 1:理想の店舗像
- 2:目標売上高の共有
- 人時売上高(にんじうりあげだか)とは?
- 人時売上高を求める計算式
- 人時売上高の良い特徴
- 3:財務管理
- 損益分岐点売上高とは
- 限界利益とは?
- 限界利益の計算式
- 限界利益率とは?
- 変動費比率とは?
- 変動費比率の計算式
- 損益分岐点売上高の計算式
- 損益分岐点売上高の計算例
- 損益分岐点比率とは?
- 損益分岐点比率の計算式
- 目標売上高(目標利益達成売上高)とは?
- 目標売上高の計算式
- 理論原価と実際原価について
- ロス高、ロス率の計算
責任者がやるべき3つの業務
1
経営者の思想や理念を踏まえた
【理想の店舗像】を
スタッフ全員
(パートアルバイトも含める)
に理解させること。
2
月次目標売上高と日次目標売上高を
店舗内で共有する。
さらに
『人時売上高』を
スタッフのモチベーションとする。
3
店舗責任者は自店の
『損益分岐点売上高』
に基づいた財務管理ができること。
まずは、
この3つをチェックして
売上アップに繋げましょう!
1:理想の店舗像
あなたは
経営者の理念を
どの程度理解していますか?
店舗責任者は
経営者の理念に従い、
店作りの具体的な策を
スタッフ全員と
共有していく必要があります。
例えば、
- 店内のテーマ、
雰囲気を重視した店 - 接客により、
お客様の満足度を求める店 - とにかく料理がおいしい店
もちろん
これらすべてが出来れば
それは理想的ですが、
欲張りはいけません。
まずは
特化したい
💖『お店の魅力💖』
を追及しましょう。
このような、
店舗が発信する
テーマやコンセプトはもちろん、
スタッフに対して
どんな接客や調理を求めているか?
これを明確に示してあげることが、
責任者が
最初に取り組まなくてはならない業務
と言えるでしょう。
店舗責任者は経営者ではないので
お金を動かすことはできません。
その代わりに
人を動かす
という大事な使命を担っています。
『店舗の質は人材の質!』
と言っても過言ではありません。
スタッフを上手にコントロールし、
理想の店舗を作りあげましょう。
店舗責任者は
経営者に成り代わって、
店の存在価値を
世間に表現する立場である
2:目標売上高の共有
店舗責任者は毎日勤務スタッフに対して、
前日の目標売上高の達成率
及び本日の目標売上高を
必ず全員に伝達しましょう。
グループLINEなどのSNSを使って
勤務前に連絡するとよいでしょう。
この時重要なのは、
本日の目標売上高だけでなく、
前日までの目標売上高達成額が
いくらプラスマイナスしているか?
を伝えることが大事!
プラスなら
昨日は
みんなのおかげで売上達成できたよ。
ありがとう。
というように
スタッフに
感謝を伝えましょう。
マイナスなら
『昨日マイナスした分、今日売るぞ!』
これくらいチーム一丸となって
士気を高めたいところです。
しかし残念なことに
大抵のパートアルバイトは
『今日○時間働けば、○円貰える~』
くらいにしか考えていません。
こういう働き方をさせていると、
『勤務時間内に
言われたことだけやってればいい』
という消極的な働き方になるので、
利益を生み出す人員になりません。
そこで店舗責任者は、
1日に働く人員の1人あたりが
勤務時間内に
いくら売らなければならないか
これを把握していなければなりません。
これを示すのが
『人時売上高』です。
人時売上高
(にんじうりあげだか)とは?
例えば、
毎日本来必要ない人員を
1人多く
シフトに入れ続けるとします。
時給1‚000円で8時間働いていれば
日給は8‚000円です。
(深夜給などを除く単純計算で)
これが365日続けば
292万円
無駄にすることになります。
このように
店舗の必要人員数の決定は、
利益確保の重要な指標の1つなのです。
これに気がつかずに
『明日は忙しそうだから』などと
曖昧なシフト調整をしていると
後にとんでもない目に合うのです。
そこで適正なシフト作成をするために、
まずは
『人時売上高』
を分析してみましょう。
人時売上高とは
スタッフが1時間働いた時
いくらの売上を得ることができるか
人時売上高を求める計算式
人時売上高=
目標売上高÷総労働時間
例えば今日の目標売上高が
30万円だったとします。
全スタッフ(社員+アルバイト)合わせて
15名で、
1人あたり
10時間働いたとします。
すると総労働時間は
15名×10時間=150時間
この場合の『人時売上高』は、
30万円÷150時間
=2,000円
1時間に1人あたり2‚000円売って
1,000円の時給を支払っています。
すると、
人件費1,000円÷人時売上高2,000円
=50%
つまり
売上高の半分が
人件費で消えていることになります。
ここから経費などを差し引いたら、
利益はほぼ残りません。
この店は売上高に対して、
『人員を使いすぎている!』
ということになるのです。
飲食店において、
人時売上高の目安は
4,000円~6,000円です。
すなわち
スタッフ1人当たりが1時間の間に、
4,000円~6,000円を売ることができなければ、
店舗として
十分な利益を得ることができない
という目安になります。
1日『30万円』の目標売上高なら、
最低でも
30万円=4,000円✖75時間
つまり1日に
10時間稼働する人員7.5人で回す
という計算になります。
試しに自店の人時売上高を
計算してみてください。
(月の場合は月の目標売上高と月の総労働時間で計算します。)
シフトを作成する際は、
『週末は忙しいから人を増やしておこう』
などという
『フワッ』とした考え方では
ダメだ!とわかるでしょう。
売上高を生み出す為に
『何時間の総労働時間を費やしたか?』
という視点で管理すること!
人時売上高の良い特徴
そもそも店長(料理長)ならびに
社員以外の従業員やアルバイトは、
売上や予算に対して
興味関心を持っていない
のが実情です。
『人件費率30%だから』
とアルバイトに説明しても、
ピンとはこないでしょう。
しかし、
今日の
人時売上高は
4,000円ね💖
と言えば簡単に説明できます。
1時間で4‚000円
売れるように頑張ってください!!
これで済むのです。
人時売上高は簡単に計算できます。
毎日営業後に人時売上高を越えていたら、
『ありがとう、ご苦労様』
と労をねぎらってあげれば良いし、
越えていなければ閉店後に5分程度、
商品のススメ方や
お客様とのコミュニケーションの取り方を
教えてあげれば良いのです。
3:財務管理
飲食店の経営には
『業務』と『財務』
この2つの大きな流れがあります。
店舗責任者は
『業務』の流れは理解していても、
『財務』
についてはあまり
理解できていないことがあります。
財務のメカニズムを理解すれば、
闇雲なコストカットが
いかに無意味かがわかるでしょう。
損益分岐点売上高とは
売上高と経費
(固定費+変動費)の
総額が
同じ時の売上高のことです。
損益分岐点売上高は
飲食店経営において
基準となる数値です。
- 売上高が損益分岐点を上回れば黒字
- 売上高が損益分岐点より下回れば赤字
となります。
(損益分岐点を表すグラフ)
(P=損益分岐点)
売上高に平行して固定費線があり、
その上に
売上高に比例して変動費線があります。
変動費線が売上高線と交わる点
(P)が損益分岐点売上高となります。
店舗を維持するために
最低限必要な金額ということです。
限界利益とは?
売上高から変動費を差し引いた金額で、
この限界利益が
固定費と同額になった時点が
損益分岐点売上高となります。
限界利益の計算式
限界利益=
売上高-変動費
または
固定費+利益
限界利益率とは?
売上高が増加したときに、
限界利益がどれだけ増加するか
という割合を示します。
限界利益率の計算式
限界利益率=
1-(変動費÷売上高)
限界利益率こそが売上高の増減に伴う
企業の利益の増減そのものとなります!
変動費比率とは?
売上高と変動費との比率で、
売上高に対して
変動費がどの程度あるのかで
変動費の割合を見ます。
変動費比率の計算式
変動費比率=
変動費÷売上高
経営者はまず、
変動費を回収していき、
その次に固定費を回収していき、
両方回収して初めて
利益が発生します。
損益分岐点売上高の計算式
損益分岐点売上高=
固定費÷(1-変動費比率)
または
固定費÷限界利益率
以上の2つの式から求めることができます。
損益分岐点売上高の計算例
(表①)
表①から変動費の合計は64%で
固定費の合計は135万円。
これを上の公式に当てはめると、
135万円÷(1-0.64)=375万円
1ヶ月の営業日数を25日とすると、
375万円÷25日=15万円
よってこの店は
1日に
15万円以上売らないと利益が出ない
ということです。
損益分岐点比率とは?
損益分岐点比率の割合が低いほど
収益性が高く、
赤字耐性が強く、
経営が安定していると言えます。
80%以下ならかなり優秀です✨
損益分岐点比率の計算式
損益分岐点比率=
損益分岐点売上高÷売上高
目標売上高
(目標利益達成売上高)とは?
目標利益も固定費と考えてしまえば
目標利益を確保できる必要売上高を
以下の計算で求めることができます。
目標売上高の計算式
目標売上高=
(固定費+目標利益)÷限界利益率
~目標売上高の計算例~
例えば、
目標利益を45万円として
上の表①を使って導くと、
目標売上高=
(135万円+45万円)÷(1-0.64)
=500万円
月25営業日とすると
1日20万円売れば
月45万円の利益を得ることができる
というわけです。
目標売上高を確保したい
利益を出したい場合は
以下の3つの方法で
損益分岐点売上高を
下げる方法があります。
- 固定費を下げる
社員の基本給を下げて出来高制にするなど - 変動費比率を下げる
(人件費、光熱費、理論原価など) - 売上高を上げる
いやぁ~
これができるくらいなら
誰も苦労はしませんよね。。。
とはいえ、
無駄な経費は必ずあります。
無理に
人件費や光熱費を
カットする必要はありませんが、
無駄は排除しなければなりません。
料理1つ取ってみても、
『色味野菜や飾りのハーブ』
などに
無駄なコストを使っていませんか?
もちろん
料理の見た目は大事ですが、
利益が伴っていなければ
それは無駄でしかないのです。
コストをかけずに
料理の見た目を良くする方法
を考えましょう。
また、
ピーク時間を過ぎても
ピーク時と同じ数の人員を
配置していませんか?
人員が多ければ
あなたの仕事は楽になりますが、
経営は決して楽にはなりません。
例えば、
時間帯人員数は30分単位、
できることなら
15分単位で
シフト管理してみましょう。
時間給だからといって、
1時間単位で働かせる必要はありません。
本当に忙しい時間帯に
マックスの人員がいれば
いいわけですから、
『30分入りや45分入り』
あるいは、
『15分あがり、30分あがり』
といった
細かいシフト作成も必要なことです。
パートアルバイトには
面接時に
このことをきちんと説明して、
了承をもらった上で採用すれば
後々のトラブル防止にもなります。
そして、
予約薄な日や暇な日は
パートアルバイトの時間は削る。
経営を維持するためには、
時に心を鬼にしなければなりません。
目標売上高の適性
店舗の『損益分岐点売上高』がわかれば、
目標売上高が適正であるか判断できます。
利益欲しさに法外な高い目標を立てるより、
損益分岐点売上高の平均値を見て
現実的で妥当な
目標売上高を設定しましょう。
高すぎる目標は
逆に
スタッフの
モチベーションを下げてしまいます。
働いているのは人間ですし、
この人達次第で売上高は大きく変化します。
人材育成に取り組む事も
売上高を上げる為には重要なポイントです。
理論原価と
実際原価について
理論原価率(%)=
*理論原価÷売上高×100
*理論原価=各商品の理論原価×出数
理論原価とは、
レシピ通りに全ての調理が行われたときの
食材費(原価)の総額のことです。
500円で仕入れた物を1‚000円で販売して
100個売ったら10万円の売上高になります。
この時の理論原価率は
(500×100)÷10万円×100
=50%
となります。
実際原価とは、
当月に使った原材料費のことで、
理論原価よりも数値は高くなります。
実際原価>理論原価
ロスの原因
この理論原価と
実際原価の差の原因の究明こそが、
ロスの削減に繋がります。
ロスの原因のほとんどは
『仕込みロス』
『廃棄ロス』
『まかない』
などです。
理論原価と実際原価の差が
あまりにも大きい場合は
従業員と共有して、
店全体で対策に取り組むことで
早急な原因究明と
改善策を打ち出すことができます。
理論原価率と実際原価率の差は
3%前後であれば許容範囲内です。
ロス高、ロス率の計算
ロス高=
商品単価×廃棄量
ロス率=
ロス高÷売上高×100
~ロス高とロス率の計算例~
1000円の商品を100個売って
5個余ったとします。
売上高は10万円。
ロス高=1000円×5個=5千円
ロス率=5千円÷10万円×100=5%
ロス率は5%前後が一般的な目安です。
⚠️注意
ロス高の計算には、
商品の食材原価ではなく
商品の販売価格を用います。
お間違えのないように。
ロスを減らすには、
仕入れ過ぎない、
仕込みすぎない、
オーバーポーションをしないことです。
最後までお読み頂き
ありがとうございました。