◼️目次◼️
- 『テーブルチャージ』とは?
- 飲食店はなぜ『テーブルチャージ』を必要とするのか?
- 『テーブルチャージ』によるトラブル
- テーブルチャージの内訳
- 『お通し』『突きだし』とは?
- お通しでお店の質(レベル)をみる
『テーブルチャージ』とは?
日本の飲食店には『テーブルチャージ』という仕組みがあります。
『席料』『サービス料』として料金が発生するシステムです。
海外では『チップ』に相当するのでしょうか。
ただし『チップ』はあくまでも『サービスに対してのお礼』として支払われるようですが、日本のそれは有無を言わさず強制的です。
最近は海外でも『チップ』の支払いは半ば強制的で当たり前になっているようですが。
とは言え外国人からすると、日本の『テーブルチャージ』というシステムには理解しがたいニュアンスを含んでいるのも事実です。
まずは『席料』という概念がないこと。
さらに頼んでもいない料理が出てくるうえに、レシートには『チャージ料¥○○○』と打ち込まれていることです。
馴染みのない日本の慣習に『WHY?』と不思議そうな顔を見せるのも当然です。
これを説明するのに苦労した日本の飲食店スタッフも少なくないでしょう。
ちなみに英語で説明する際は『テーブルチャージ』ではなく『カバーチャージ』(cover charge)と言うそうです。
飲食店はなぜ『テーブルチャージ』を必要とするのか?
今では当たり前となっている『テーブルチャージ』というシステム。
『仕方ない』とは言え、本心では支払うことに抵抗を感じている人も少なくないでしょう。
もちろんすべての飲食店にこのシステムが導入されているわけではありません。
では『テーブルチャージ』を導入している飲食店は何故こんなことをするのでしょう?
この考え方には店によって様々な理由があるようです。
『テーブルチャージを払えないような客はウチの店にはいらない』
こんな強気な考え方もあります。
一見非道にも聞こえる発言ですが、店側にも言い分があるようです。
私達(客)が自由に店を選択できる権利があるように、飲食店にも客を選ぶ権利はあります。
近年『テーブルチャージ』は『席料』というよりは『サービス料』であると考えるようになっています。
店は客を招き入れ、飲食の提供はもちろん、時には客のわがままを聞き入れたり、特別な注文に対応したりもしなければなりません。
なかなか気づきにくいところではありますが、入店して着席すれば『サービス』を受ける準備は整っているのです。
サービスを受ける側が『サービス料』を支払うのは当然だ、または仕方ないと多くの人が考えているでしょう。
経営者はこのような『良識ある人』だけを受け入れる『ここは安全なお店です』と『テーブルチャージ』によって示しているわけです。
こう考えれば、客は『テーブルチャージ』によって店に守られ、安心して飲食ができるように配慮されていると言ってよいでしょう。
ですから『テーブルチャージ』の支払いを要求する店には、その料金に値する『サービス』をしっかりと提供できるように心がけてもらいたいと私は常日頃思っています。
また『テーブルチャージ』にはこんな理由もあります。
アルコールをメインに提供する『バー』などでは、一杯飲んでお会計なんてことはザラにあります。
一杯分の客単価ではせいぜい¥600~¥800程度。
これでは経営が成り立たないので『テーブルチャージ』という仕組みを必要としたわけです。
例えば客は『テーブルチャージ』を¥1‚000支払ったら、逆に一杯では帰りづらくなります。
『1‚000円も取られて一杯で帰るのはもったいない』と言う心理を逆手に取られているわけです。
『テーブルチャージ』によるトラブル
『テーブルチャージ』を設けている店は、客が『チャージ』を支払いたくないと言えば、店のルールに従えないという理由で入店を拒否することができます。
また、『テーブルチャージ』の有無を認識しないまま飲食をし、会計時になってそのシステムが発覚した場合、『聞いてないから払わない』は通用しません。
こうしたトラブルを法的に立証することは難しく、受け入れた『サービス』に対しては、客は料金を支払わなければならないのです。
当然ながら店側は『テーブルチャージ』のシステムを掲示し、必要なら入店時にきちんと説明しなければなりません。
私達(客)が最も気を付けなければならないことは『サービス料』とうたって法外な金額を客に支払わせる、いわゆる『ぼったくり』と言われるものです。
通常『テーブルチャージ』は店頭に掲示されているか、メニューに記載されているか、または入店時にスタッフから説明されるものですが、法外な料金とは言え実際にその料金は法律で定められておらず、店が自由に決めてよいことになっています。
先ほど申し上げたように、会計時に判明しても時既に遅しです。
どんなに高い『サービス料金』であったとしても、法的立証が困難なため、客は支払わなければなりません。
最初に確認をしなかった客側に落ち度があるとされてしまいます。
『テーブルチャージ』は優良店であれば、その店の平均客単価の10%程度が適正とされています。
平均客単価¥3000の店なら『テーブルチャージ』は¥300といったところです。
ただし高級店になれば、金額以上の『サービス』をきちんと受けられるので、少々高い『チャージ』でも文句を言う客はいません。
地方自治体によっては、『テーブルチャージ』に対しての規制を取り決めている所もあるようですが、席に座って飲食してしまえば『サービス料』がいくらであっても支払わなければならないのです。
こうしたトラブルを避けるには『チャージ料』が店頭に明確に掲示されていないお店には入らない、または予約時、入店時にスタッフに確認するなどして回避するとよいでしょう。
またコース料理を注文した場合は『テーブルチャージ』が発生しないのも特徴です。
理由は店側が一定の客単価を確保できる為、サービス料は既にコース料金に含まれるものとしているからです。
ただし店によってルールが違うので確認はしておきましょう。
テーブルチャージの内訳
『テーブルチャージ』には
『お通し』『突きだし』の材料費
『おしぼり』『箸』『ナプキン』などの使用料の他
『施設利用料(座席、化粧室)』
『接客サービス料』も含まれます。
一般的な中間層の居酒屋レストランの『お通し』『突きだし』に費やされる材料費は『数十円』(平均¥50くらい)。
おしぼりは布製で15円前後、割箸は2~3円、ナプキン1枚0.3~0.4円となっています。
『お通し』『突きだし』とは?
しかし客の立場からすれば、座っただけで料金を取られるわけですから、なかなか納得いかない人もいるでしょう。
そこで店は考えました。
『お通し』『突きだし』というシステムです。
『席利用料』『サービス料』といった目に見えない価値を、分かりやすく目に見えるように商品化して提供することにしたのが『お通し』や『突きだし』というわけですね。
『お通し』は『注文を通しました』と客に示すため注文後に出され、『突きだし』は関西方面の特徴で『注文に関係なく座ったら突き出す』というそれぞれの意味があるようです。
『お通し』や『突きだし』はいらなければ拒否することはできますが、『チャージ料』を支払わなくてよくなるわけではないのでご注意ください。
お通しでお店の質(レベル)をみる
私達はこの『お通し』が、果たして『テーブルチャージ』に見合っているかどうか?に意外と無関心です。
出されれぱとりあえず無意識に食べますが、これに¥500~¥1000支払ってると思って食べてはいませんよね。
そこで『お通し』を『一品料理』として受け入れてみましょう。
この『お通し』で、そのお店の質(レベル)を計ることができるかもしれません。
お店側は『お通し』に材料費をかけたくないので、いかに低コストで見映えよく、味の良い料理を作るかに頭を悩ませます。
これは私の経験からも言えることです。
普通に料理を考えるよりも、『お通し』を考えるほうが長い時間と手間を要したものです。
『お通し』にはその店の料理人の腕を問われる部分があります。
つまり『お通し』に満足できる店は、他の料理の満足度も高い、その店の料理人の腕が良いと言えるかもしれません。
『お通し』が手抜きなら、料理のレベルも疑わしいと考えざるを得ないでしょう。
『テーブルチャージ』というより『お通し代』という観点から見れば、その店の本質も見えてくるわけです。
読んでくださってありがとうございました。